法務note

Q 株主から株主総会の招集請求がなされた場合

会社法

株主は、取締役(代表取締役・執行役)に対して、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集をする請求することができる(会社法297条1項・325条)。これは、株主による株主総会の招集するための要件であり(Q 株主による株主総会の招集のための要件)、これを拒絶したり、速やかに招集手続をしなかった場合、株主による株主総会招集のために裁判所に許可申請がなされることになる。

請求を受けた会社としては、請求株主が議決権要件や保有期間要件(公開会社の場合)を充たしているか否かを確認する必要がある。また、剰余金がないことが明白なのに剰余金の配当を議題とするような実益のない議題でないか否か、権利義務取締役を対象とする役員解任(Q 権利義務取締役が不正行為を行っている場合、解任の訴えを提起できるか。)を議題とするような違法な議題でないか否か等を確認する必要がある。
議決権要件等を充たし、また、請求している議題も特に問題がない場合、裁判所は、許可申請手続において、会社に対して株主総会の開催を勧告することが多く、会社が任意に総会を開催しない場合には、株主の申請に対して許可決定をすることになる。

株主が請求する議案について、株主総会が開催されても否決されることが明らかな場合、会社としては株主が招集する株主総会を静観していても問題はないと思われる。この場合における総会招集に係る費用は株主負担となる(Q 株主による株主総会の招集と運営)。

しかし、可決されるか否かが微妙な場合には、株主が招集する株主総会ではなく、会社が自ら積極的に株主総会を開催する方が望ましいと思われる。
なぜなら、議長は議事進行に関して幅広い裁量を有しているところ、会社が招集する場合には、定款の定めにより通常は代表取締役が議長になるが、株主による総会の招集の場合、議長に関する定款の定めは適用されず、招集株主が仮議長になり、決議で議長を決めることになってしまうからである(Q 株主による株主総会の招集と運営)。

なお、裁判所による許可決定後は、会社は同一の議題について株主総会の招集権限は失われるため、会社が自ら総会を招集する場合には早期に決断をする必要がある。