法務note

Q 株主による株主総会の招集と運営

会社法

1 招集通知
株主総会の招集通知は、裁判所の許可を得た株主が行うことになる。それ以外は、通常の招集手続と同様である。株主が1000人以上の会社では、株主総会参考書類及び議決権行使書を作成して株主に送付する必要がある(会社法298条2項、301条)。
株主総会の招集について許可を受けた株主は、招集権に基づき株主名簿の閲覧・謄写請求ができる。また、基準日現在の株主を最終的に確定した株主名簿の作成を待っていては裁判所が定めた期限までの総会の招集が事実上できないような場合には、株主名簿の外に、株主総会に招集すべき株主を確知するために必要な会社の書類(基準日までの名義書換請求書及びこれに対応する株券)の閲覧・謄写することができる(東京地裁昭和63年11月14日決定(金融法務事情1212号40頁))

2 運営
Q 議長の選任
多くの会社では、定款で株主総会の議長について代表取締役社長等が務める旨定められているが、株主が裁判所の許可を得て招集した株主総会ではその定款の適用はないと解されている(広島高裁岡山支部昭和35年10月31日決定(下民14巻7号1313頁)、横浜地裁昭和38年7月4日決定(判例タイムズ151号163頁))。その結果、招集株主が仮議長となり、その後決議によって正式の議長を選任することになる。

3 会議の目的事項
株主によって招集された株主総会においては、裁判所が許可した会議の目的事項についてのみ決議することができる。
但し、許可された議題に含まれておらず、また、招集通知に記載がなくても、会社の業務及び財産の状況を調査する者を選任することができる(会社法316条2項、「新・類型別会社非訟」(判例タイムズ社)34頁)。

4 招集及び開催に係る費用
招集及び開催に係る費用は招集株主の負担であるが、決議が成立した場合等会社にとり有益な費用であったときは、株主は会社に対して合理的な費用を求償できると解される(民法702条、江頭「株式会社法 第8版」327頁注8)。

 

Q 株主による株主総会の招集の要件