法務note

Q 株主総会の招集権者及び招集方法について(一般)

会社法

株主総会を招集する方法として

1 一般の場合(招集権限がある者が法定の手続に従い招集する方法)

2 少数株主による招集(会社297条1項・325条)

3 裁判所による招集会(社307条・325条・359条)

がある。

 

一般の場合の招集権者等は以下のとおりである。なお、特例有限会社は、取締役会を置くことができない(整備法17条1項)ため、取締役会非設置会社と同じ手続になる。

  公開会社
(2⑤)
公開会社でない会社
(全株式譲渡制限会社)
(非公開会社)
取締役会設置会社 取締役会非設置会社
招集権者(一般) 取締役会で招集を決定し、代表取締役(指名委員会等設置会社では代表執行役)が招集する(296Ⅲ※1)。 取締役(取締役が2人以上の場合、過半数で決定(348Ⅱ))が決定し、代表権を有する取締(349Ⅰ~Ⅲ))が招集する(296Ⅲ※1)。
招集権者による決定事項(298Ⅰ) ア 開催の日時・場所
イ 会議の目的事項(議題)があるときは、当該事項(※2)
ウ 書面による議決権行使を認める場合その旨
エ 電磁的方法による議決権行使を認める場合その旨
オ その他(会社規則63)
招集手続-期間 2週間前(※3)に通知を発信(295Ⅰ,325) 1週間前に通知を発信(299Ⅰ)。
但し、書面又は電磁的方法による議決権行使を定めた場合は、2週間。
招集手続-期間
(定款での短縮)
定款での短縮不可。 定款で1週間を短縮することも可(299Ⅰ)
招集手続-書面 298Ⅰ各号の事項を記載した書面でする必要。
参考書類等の交付、計算書類等の提供が必要。
書面不要(但し、書面又は電磁的方法による議決権行使を定めた場合は書面必要)。
招集手続-
通知内容
298Ⅰ各号の事項 総会日時・場所は必要
議題は不要。
招集権者
(少数株主)
3/100以上の議決権を有する株主は、取締役等に対し、議題及び招集理由を示して、総会の招集を請求できる(297Ⅰ・325)。
①請求後遅滞なく総会招集手続が行われない場合、又は、②請求の日から8週間以内の日を会日とする総会の招集の通知が発せられない場合には、株主は裁判所の許可を得て、自ら総会を招集できる(297Ⅳ・325・868Ⅰ)。
保有期間の要件あり
請求の6ヶ月前から引き続き割合で議決権を有すること必要
保有期間要件なし


※1

 会社法296条3項は、「株主総会は、…取締役が招集する」と規定しているので、代表権のない取締役でも株主総会を招集できるように読める(実際、立法担当者はその趣旨で規定したようである。)。 

 しかし、多くの学説は、この規定にかかわらず、旧商法の解釈同様、代表取締役が取締役会の決定に基づき株主総会を招集すると解釈している。会社法296条3項は、単に招集の決定を取締役(取締役設置会社の場合、取締役会)が行うことを定めたものに過ぎないと解し、実際に招集をするのは代表権者と解する(以上、田中亘「会社法[第二版]」161頁)。

※2

 議題を定めないこともできる。但し、取締役会設置会社は、取締役会で決定された議題以外の事項は決議することができない(会社309条5項)。その結果、議題を決めない招集決定はあり得ないことになる。取締役会非設置会社では、議題を決めず招集し、総会で議題を決めて審議することが可能。

※3

発信日と会日とを参入せず、その間に14日必要。