企業法務のQ&A

Q 特定調停の特徴。

事業再生・清算

 特定調停は、支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため、債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を図ることを目的とした、民事調停の特例手続です。

特定調停の特徴
1 公平かつ経済的合理性を有する調停条項案
 通常の調停手続では、当事者間が合意をすれば調停成立ですが、特定調停の場合、調停条項案の内容が、公平かつ経済的に合理性のある内容である必要があります(特定調停法18条1項)。よって、特定調停手続を経て成立した調停条項は、公平かつ経済的合理性を有する内容であることが調停委員会によって担保されていると評価できるので、債権者としては安心材料になると思われます。

2 民事執行手続の停止
 調停手続においては、調停前の措置として、調停委員会は、相手方その他関係者に対して、現状の変更又は物の処分の禁止等調停の内容となる事項を不能又は著しく困難にする行為の排除を命ずることができます(民事調停法12条1項)が、執行力がありません(同法12条2項)。この措置は、特定調停においても準用されます(特定調停法22条)。
 更に特定調停法では、民事執行手続の停止を命ずることができます(特定調停法7条1項)ので、民事執行手続が取り下げられないことによって、特定調停手続の進行が妨げられるということを回避できます。

3 調停委員会による調停条項
 当事者の共同で、調停委員会が作成した調停条項に服する旨を記載した書面によって申出をしたときは、調停委員会が作成した調停条項が告知されたときに、当事者間に合意が成立したものとみなされます(特定調停法17条)。

4 「17条決定」
 特定調停手続の特徴ではありませんが、民事調停手続における「17条決定」が特定調停手続において有用です。「17条決定」とは、調停の成立する見込みがない場合であっても、相当であると認められる場合には、裁判所が、当事者の衡平に考慮し、職権で、事件の解決のために必要な調停条項を決定することができます(民事調停法17条)。この決定の告知日から2週間以内に異議がなければ、この調停条項が裁判上の和解と同一の効力を有します(民事調停法18条5項)。積極的な和解を望まないけれども、積極的に和解を拒絶するというわけでもない債権者がいるような場合や、大筋の話し合いができているが、細部において債務者と債権者間の話し合いができないような場合に有用です。