法務note
Q 「働き方改革」の概要
A 主要なポイントは、
① 労働時間法制の見直し
② 多様で柔軟な働き方を可能とすること
③ 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
1 総論
働き方改革関連法が2018年6月に成立した。
働き方改革に関連する労基法を初めとした多くの法律を改正するもので、その内容は、多岐に亘っているが、大きな柱は、①労働時間法制の見直し、②多様で柔軟な働き方を可能にすること、③雇用形態に関わらない公正な待遇の確保になる。
2 労働時間法制の見直し
労働時間法制の見直しに関する主な改正は以下のとおり。
ア 残業時間の見直し
時間外労働の上限として、原則月45時間(1日の残業時間2時間程度)、年間360時間と定められ、一定の時間を超えた違反には罰則が設けられた。2019年4月から施行されているが、中小企業については、2020年4月1日からの施行になる。
イ 年次有給休暇を1年あたり5日取得させる義務が設けられた。
ウ 仕事を終えた後に一定の休息時間をおくようにする「勤務間インターバル制度」が2019年4月から法律によって促されるようになったが、義務規定ではなく、努力義務とされてる(労働時間等設定改善法)。
3 多様で柔軟な働き方
ア フレックスタイム制の拡充
始業と終業の時刻を労働者が決められる「フレックスタイム制」の「清算期間」の上限の延長が定められる等より利用しやすい制度となった。
イ 高度プロフェッショナル制度の創設
労働時間ではなく、成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応えるため、一定の年収要件を充たし、かつ、高度な職業能力を有する労働者を対象として、時間外・休日・深夜の割増賃金の支払義務等の適用を除外した新たな制度が設けられた。
4 全ての雇用形態での公正な待遇を確保(同一労働同一賃金)
正社員と非正規社員(契約社員やパート社員)との間で、給与、賞与、手当等のあらゆる待遇において、不合理な差別を設けることが禁止される。大企業については2020年4月から、中小企業については2021年4月から施行される。
5 その他
上記以外にも、以下のような法改正もなされた。
ア パワーハラスメントの防止についての措置義務等を定める「パワハラ防止法」が新設された。中小企業については2022年3月までは努力義務だが、同年4月からは法的義務になる。それ以外の会社は、2020年6月からの施行となる。
イ 医師の面接指導(安衛法66条の8,66条の8の2,66条の8の4,66条の9)、産業医の権限強化、医師による面接指導の拡充
ウ 労働時間の状況の把握義務(安衛法66条の8の3)。