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破産か,民事再生か,それが問題。

学問のすすめ

万策尽き,資金がショートしてしまう。

 

ここまでくると,破産か民事再生という法的倒産手続を利用することになります。

 

事業を再建させるためには,民事再生以外にも,私的整理や会社更生といったツールがありますが,膨れてしまった負債をスリム化し,かつ,中小企業の経営者が引き続き続投する方法としては,民事再生が一番適当と思われます。

 

しかし,もちろん,どんなケースでも再生できるわけではありません。
再生可能性がなくてはいけません。
これは次の3つのファクターで判断します。

 

まずは現経営者のやる気があるかどうか,というモチベーション。

 

当然ですが,TOPに立つ者の士気が高くなくては,事業の再建などできません。
ただ,破産は,一時の痛みで終わるかもしれませんが,民事再生は,長期に亘って痛みを感じ,苦しみながら経営をしていなければいけませんので,イバラの道を選択できるかどうかを決めなければいけません。

 

次に,営業利益が黒字,または黒字に転換できる可能性があるか。

 

これは会社全体で判断する必要はありません。事業ごとに判断をしましょう。
ある事業は黒字になる可能性がなかったとしても,ある事業で黒字になる可能性があれば,再生の可能性は十分にあります。

 

それから,当面6か月は資金がショートしない資金繰り計画が立てられるか,ということになります。

 

この資金繰りは,法的倒産手続である民事再生を前提とした資金繰計画ですので,通常作成する資金繰表とは少し要領が異なります。

 

例えば,ほとんどの債務への支払は法的に一時ストップできます。ですので,この点では,資金繰りがかなり楽になるはずです。
しかし,他方で,売上が激減します。業種,主要取引先等によって異なるのでしょうが,やはり民事再生も「倒産」の一種です。「倒産」というレッテルを貼られたまま,民事再生前の売上をそのまま維持するのは至難の業でしょう。
ですので,売上については,50%〜70%減となることを前提として資金繰りを考えるべきです。

 

かなり危なっかしい資金繰りだったのですが,薄氷の上を歩くように再建をした企業もありましたよ。

ただ,いずれにしても,民事再生を検討するのであれば,その時期は早ければ早いほど有利です。

 

破産はいつでもできます。しかし,民事再生は手遅れになる可能性があります。