法務note

Q 剰余金の額の計算の出発点(会社法446条1号)

会社法

剰余金の額の求め方は、会社法446条による。
条文の定め方は、非常に複雑であるが、要するに、最終事業年度末日の貸借対照表の「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」の合計額(同条1号)に、決算日後に増加した剰余金を加算し(同条2号から4号)、決算日後に減少した剰余金(同条5号から7号)を減算することを意味している。

このように、最終事業年度末日の貸借対照表の「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」の合計額(同条1号)が剰余金の計算の出発となるが、この会社法446条1号の記載は非常に複雑かつ迂遠である。
すなわち、同条1号は、最終事業年度の末日における以下のイ~ホについて
   (イ+ロ)-(ハ+ニ+ホ)
の計算式で得た額とする。
イ 資本の額
ロ 自己株式の帳簿価額の合計額
ハ 負債の額
ニ 資本金及び準備金
ホ 法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額

 

そして、ホの法務省令で定める額は、会社計算規則149条で
  (イ+ロ)-(ハ+「その他資本剰余金の額」+「その他利益剰余金の額」)
とされている。

これを上記ホに当てはめると
 (イ+ロ)-(ハ+ニ+((イ+ロ)-(ハ+「その他資本剰余金の額」+「その他利益剰余金の額」)))
となる。
これを計算すると、イロハニは消滅し、「その他資本剰余金の額」と「その他利益剰余金の額」が残ることになる(※1)。

 

※1 田中亘編・小出篤「数字で分かる会社法 第2版」132頁参照