法務note

Q 法的再建手続と私的再建手続のメリットとデメリットは。

事業再生・清算

【法的再建手続のデメリット】
 民事再生や会社更生のような法的再建手続は、民事再生法や会社更生法という法律に基づき、裁判所の監督の下に行われる手続で、基本的に全債権者間の公平が要請されます。そのため、金融債権者だけではなく、商取引債権者も対象となり、その手続に取り込まれることになります。そのため、取引先との取引を停められてしまうリスクがあります。
 また、民事再生も会社更生も、その手続を利用したことが公となり、再建手続とはいえ、「倒産」というレッテルが貼られてしまいます。

【法的再建手続のメリット】
 法的に債務の支払を一時的に止めることができ(弁済禁止効)、債権者からの強引な取立も止めることができます。また、多数決原理によって債務の減免を強制できますので、一部の債権者が再建計画に反対をしても、多数決で再建計画が可決されれば、反対していた債権者にも減免等の効果が及ぶことになります。
 
【私的再建手続のメリット】
 私的再建手続は、手続に取り込む債権者を限定することができます。多くの場合、金融債権者に限定することになるので、商取引債権者に迷惑をかけることなく再建手続を進めることができます。また、私的再建手続の場合、公にならずに手続を進めることができます。

 【私的再建手続のデメリット】
 しかし、私的再建手続の最大のデメリットは、基本的に債権者全員の同意が必要となり、法的再建手続のように多数決原理で少数債権者を拘束できません。ですので、一部の債権者の反対によって再建計画が進められないということになります。