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欠陥責任20年?

学問のすすめ

日経BP社の「日経ホームビルダー」2017年2月号に「『建て逃げ許さじ』欠陥責任20年」というテーマの記事があった。

 

この記事によれば、2011年以降、施工業者や建築士が、20年にわたる責任追及の可能性が生じたとのこと。最高裁平成23年(2011年)7月21日判決が、施工業者や建築士に不法行為責任を認めたことをもって、そのような記事になっているようです。この最高裁判例については、「設計者、工事監理者、及び、工事請負人の第三者責任(不法行為責任)」を参照

 

しかし、この最高裁判決以前も、施工業者や建築士に対する不法行為責任を認めた判例はありました。だから、2011年以前から20年にわたる責任追及の可能性はあったのです。

 

建築業界では、この最高裁判決とその前提となる第1次上告審判決(平成19年7月6日判決)は、施工業者や建築士の責任の範囲を拡大したかのように捉えられているようである。

 

しかし、これら最高裁判例以前から、瑕疵ある建物に関する施工業者や建築士に対する不法行為責任は認められていたので、このようなとらえ方は誤りであり、これら最高裁判決は、契約関係にない施工業者や建築士が、どのような場合に不法行為責任を負うかを明確にしたに過ぎないと思われます。この第1次上告審判決がでるまでは、施工業者や建築士に、建築基準関連法規違反があれば、不法行為における「違法」があると判断する下級審判例もあったところ、単に建築基準関連法規違反があっただけでは不法行為における「違法」にはならず、「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」がある場合に責任を限定し、明確化したと捉えられます。