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下請法適用の効果
学問のすすめ
下請法が適用される場合,親事業者の義務と禁止事項が定められています。
親事業者の義務
ア 書面交付義務
イ 書類作成・保管義務
ウ 下請代金の支払期日を定める義務
エ 遅延利息の支払義務
禁止事項
ア 受領拒否の禁止
イ 下請代金の支払遅延の禁止
ウ 下請代金の減額の禁止
エ 返品の禁止
オ 買いたたきの禁止
カ 購入・利用強制の禁止
キ 報復措置の禁止
ク 有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
ケ 割引困難な手形の交付の禁止
コ 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
サ 不当な給付内容の変更・やり直しの禁止
これらの義務や違反行為があった場合,公正取引委員会が是正を求めるよう勧告・公表を行っています。
また,最高50万円の罰金が科されます。
要は,違反行為があった場合,下請業者としては,違反行為を公取に告口して,公取からの勧告や公表,罰金といった精神的圧力を加えて,是正をしようとしているのです。
この中で弁護士として注意をしたいのが,遅延利息の支払義務でしょう。
通常,下請代金の支払を訴訟等で求める場合に,遅延利息(損害金)を加算して請求しますが,特に契約で定めがない場合には,年6%の遅延損害金となります。
しかし,下請法の適用がある場合には,民法や商法や契約に優先して,年14.6%になります(14.6%を超える利率が契約で定められていた場合には,そちらが優先するでしょうが,通常はありません。)。
また,この利率は,法定支払期日である下請業者の給付を受領の日から起算して60日が経過した日から支払日までになります。契約上,受領日から45日が支払期日と定められていた場合でも,この14.6%が適用されるのは60日経過後になります。