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内容証明郵便の効用

学問のすすめ

内容証明郵便とは,文字通り,発送した手紙の内容が証明される郵便です。
ですので,後に「言った。言わない。」という問題を残したくない場合には,この郵便を利用するとよいでしょう。

 

法律的には,「請求」という意思表示をすることによって,相手方を遅滞にして,遅延損害金を請求することが可能になったり,時効が成立する間際に時効成立を6か月延長させることができたりという効果があります。

 

注意!
内容証明郵便で請求するだけでは,時効中断の効果が発生しませんので注意が必要です。何回も内容証明郵便で請求していたから,消滅時効にはかかっていないと信じている方もいますが,そうではありません。

 

更に,内容証明郵便の効用としては,相手に精神的なプレッシャーを与えることができるということがあげられます。
封筒には,あまり見たことがない「配達証明」という赤いゴム印が押されています。また,中を見ると通常の郵便とは体裁が異なります。更に,「本書面到達後○日以内に支払をしない場合,やむを得ず法的手続を執らせていただきます。」なんてことも記載されています。

ですので,これを受け取った方は,「相手は本気だ。」,「無視をすると裁判を起こされる。」という精神的なプレッシャーを与えることができるという効用があります。

 

破産した会社の破産管財人になることがあります。会社が破産をすると,その売掛先は,破産に乗じて「支払をしなくても何とかなるのでは」という心理が働くのか,支払をしない売掛先が多くなります。
しかし,このような場合でも,弁護士の名前で,「支払をしないと,訴訟をおこします。」という文面の請求書を内容証明郵便で発送をすると,ほぼ大体支払をしてきます。

 

個人的にも,内容証明郵便を利用したことがあります。
以前,海外で少し高価な鞄を購入し,自宅までの発送を依頼しました。
ところが,なかなか届きません。しかも,ネットで発送状況を検索すると,既に「配達済み」になっているではありませんか。
日本のとある宅配業者なのですが,電話をしても,「『配達済み』になってます。何かの間違いでは。」と,あたかも私か私の家族が受け取っているにもかかわらず,業者にクレームをいっているクレーマーのごとき扱いを受けました。
電話で業者の管轄集配所に文句をいっても,埒があかなかったので,仕方なく,内容証明郵便を発送しました。しかも,その業者の代表者宛に。
その数日後,管轄集配所の所長から電話がありました。「お荷物ありました。直ぐに配達します。」だって。
どこにあったのでしょうか。

 

このような内容証明ですが,債権回収の方法としては,心理的な圧力を加える以上の効果はありません。
ですので,内容証明郵便をよく知っている(よく受け取っている)強者を相手にする場合には,内容証明郵便をだしても余り意味がありません。むしろ,内容証明郵便をだすことによって,こちらの本気モードがばれてしまい,相手に逃げる時間を与えてしまうリスクがあります。

 

このような場合には,内容証明郵便をだすよりも,仮差押という手続で,相手の財産を押さえてしまうことが有益となります。
ただ,この仮差押という手続は,裁判手続になりますので,一般の方が行うには少しハードルが高いので,通常は,弁護士に依頼をすることになります。