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損害賠償の予定

学問のすすめ

「NDA(秘密保持契約)」で,契約違反があった場合,損害を立証することが大変だから,この立証を軽減するような条項を設けましょう,と記載しました。

 

この軽減するような条項が,具体的にどのようなものか言及しませんでしたが,「損害賠償の予定」と言います。
実際にこのような条項が使われている契約書は余り見かけないのですが,とても重要だし,有益な条項です。

 

どういうものかというと,読んだままですが,損害賠償の額を予め当事者間で決めておきましょう,ということです。

 

例えば,「もし,契約違反があった場合には,損害賠償額は100万円とする。」という合意をした場合,損害賠償として請求できる金額は100万円ということになります。

 

これは,請求者にとって見れば,損害額を立証する必要がない反面,もし実際の損害がこれを上回る場合でも,100万円を上回る請求ができない,ということになります。請求される側からすれば,請求される損害額の上限を決めておける(万が一のことがあっても,100万円を超えては請求されない。)という効用があります。

 

請求者側からすれば,もし実際の損害額がこの予定額を上回った場合,100万円を超えて請求できないというリスクがあります。このような場合,
「但し,甲に生じた実際の損害がこれを超えるときは,甲がこれを証明した場合,実際の損害額を請求することができる。」というような条項にしておけば,請求者側にとって見れば,有利な条項になります。

 

なお,損害賠償の予定額は,このように定額で決めることもできますし,
「販売価格の○%とする。」とか,
「契約金額の○%とする。」というように
損害額を計算する計算式でも表示することが可能です。

 

ですので,このような損害賠償の予定は,NDAだけではなく,取引基本契約書にも非常に有益です。