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賃貸借契約の損害賠償の予定 2

学問のすすめ

損害賠償の予定」という条項が契約において非常に有効だということを以前説明しました。

 

建物賃貸借契約書にも,同様の条項がよくあります。違約金条項などと呼ばれていることもあります。

 

例えば,
契約期間の途中で,甲が本件契約を解約しようとする場合,6か月前に解約予告をしなければならない。即日解約をする場合,6か月分の賃料相当の違約金を支払わなければならない。
という条項です。

 

しかし,気をつけなければいけないのは,破産法(その他の倒産法もほぼ同様)には,通常の解約とは異なる倒産法独自の解除権があります。しかも,これは破産管財人にしか認められていませんので,その相手方には解除権がありません。

 

そして,破産管財人に,この独自の解除権を行使された場合,先の違約金条項の適用があるのか,という問題になるのですが,その条項の適用はないと考えるのが多数説のようです。私も,同感です。

 

ですので,破産管財人が独自の解除権行使をした場合,理論的には6か月の賃料相当の損害金は請求できません。ということは,これと敷金や保証金との相殺(充当)ができないということになりますので,敷金や保証金に,未払賃料と原状回復費用を控除した残金がある場合には,破産管財人に返還する必要があります。