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会社のプライベートな行為?

学問のすすめ

貸金債権等の債権は,長期間放置することよって,消滅時効にかかってしまいます。

 

その期間は,原則として,
 その権利が行使できるときから10年間とされています。

しかし,その期間には様々な例外がありますので,注意が必要です。

 

その一つとして,商事消滅時効というものがあります。

 

これは,「商行為によって生じた債権」について,消滅時効の期間が5年間と短い期間が定めています。

それでは,「商行為」って何なの?というのが問題となりますが,会社の行為については,ほぼ95%?商行為になります。

 

よって,会社の行為によって生じた債権については,5年で消滅時効にかかると考えて間違いないでしょう(ただ,債権の種類によっては,もっと短期の消滅時効もありますので,全て5年と考えないでください。例えば,請負代金債権は,3年という短期消滅時効にかかります。)。

 

少し難しい話をすると,商行為というのは,法律に色々と列挙されていますが,そこに列挙されていなくても,「商人が営業のためにする行為は,商行為とする。」という規定があります。

 

そこで,会社が行った行為のうち,どれが営業のためにする行為で,どれがそうでないかが問題となります。

 

この点について,多くの学説は,会社には,プライベートな行為という概念がないから,全ての行為が「営業のためにする行為」だと考えています。
この見解によれば,会社の行為で商行為ではないものはあり得ない結果,消滅時効は,10年ではなく,5年が適用されることになります(それよりも短い期間があることは前述のとおり)。

 

しかし,近時の最高裁判決にて,会社にもプライベートな行為(事業とは関係のない行為)がありうる旨が指摘されました。

 

ただ,この判例では,情宜に基づく貸付でも,それだけでは,事業とは無関係とは言えないと判断しましたので,どのような行為が会社にとってプライベートな行為なのか明確には示されませんでした。

 

明確には示されませんでしたが,これに該当するものはこの最高裁の立場でもほとんどないと考えられるので,会社の行為は95%商行為と評価しました。

 

いずれにしても
短期の消滅時効にかかると考えて行動をした方が,問題ないと思います。