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学問のすすめ。

ハイビームを推奨!?

2016年09月26日

2,3日前、夜間走行の場合のハイビームを使用推奨するかのようなニュースが流れていました。

その根拠は、「警察庁によると去年1年間、夜間に起きた全国の死亡事故のうち、実に96%がロービームの状態だったという。」とのこと。

テレ朝のニュースでは、「遠慮しないで!「ハイビーム」が事故防止のカギに」というタイトルがつけられていました。

http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000084008.html

 

ハイビームを推奨する論理に、また、このテレ朝のタイトルに、

とても違和感を感じます。

 

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確かに、ハイビームの方が見やすいのは当たり前です。こんなの実験しなくてもわかります。

そして、道路交通法も、ハイビームを原則としています(※)。

 

しかし、反面、その対向車の運転手は眩しくて、視界が妨げられるというリスクがあります。

ですから、道路交通法も、対向車両がいたり、他車の後を走行したりして、他の車両の交通を妨げるような場合には、

ロービームに切り替えなければならないと規定しています(※)。

 

そして、夜間の都心部においては、ほとんどの場合、対向車がいたり、他の車両の直後を走行したりすることになり、

ハイビームで走行をすることは、対向車や前方を走行している車両の運転手の視力を一時的に喪失させる危険があります。

また、都心部では、街灯、看板、建物の明かり等によって、夜間でもある程度の明るさが確保されています。

だからこそ、都心部では、ロービームが当たり前となり、道路交通法の原則と例外が逆転していると考えられます。

 

鬼の首とったかのように

「警察庁によると去年1年間、夜間に起きた全国の死亡事故のうち、実に96%がロービームの状態だったという」

などと言っていますが、事故の場所(都心部か田舎道か)とそれぞれの件数を明らかにしないと意味ない統計ですよね。

そもそも都心部の道路を、ハイビームで走行している車両は皆無に近いのですから、都心部の事故のほぼ100%がロービームになるのは当たり前です。

にもかかわらず、事故の100%近くがロービームだから、今後はハイビームにしましょう、ってどんな論理なんでしょうか?

この論理でいくなら、「事故の100%近くが前照灯を付けていたから、これからは前照灯をつけるのは止めましょう」という論理にもなってしまいます。

 

先のとおり、道路交通法もハイビームの場合には、対向車等の運転手の視力を一時的に喪失させてしまうリスクがあることから、

そのような場合にはロービームへの切り替えを義務としています。

 

ですので、都心部で皆がハイビームを利用した場合、対向車等の運転手の視界が妨げられるというリスクを検討しなければいけないはずです。

都心部におけるハイビームでの走行のリスクを全く実験することなく、都心部も田舎道も関係なくハイビームを推奨するかのようなこの報道は、全く理解に苦しみます。

 

先のテレ朝のタイトル「遠慮しないで!」は、「対向車がいてもハイビームのままでいい」と誤解を招くと思います。

 

繰り返しになりますが、対向車等がいて、その走行を妨げるおそれがあるとき(要は、その運転手を眩しくさせてしまうような場合)、

ロービームにしなければいけない法律上の義務があるのです。

これをせずに、対向車の運転手を眩惑状態にし、それが原因で事故になったとして、ロービームにしなかった運転手の刑事責任が問われている判例もありました。

 

道路交通法52条2項の「車両等が、夜間…他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転手は、政令で定めるところにより灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。」とされ、道路交通法施行令は、この「灯火の光度を減ずる等」の灯火方法の一つとして、「照射方向を下向きとすること」と定めています。これがロービームです。なので、道路交通法は、ハイビームを原則にしているということになります。

 

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