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学問のすすめ。

離婚弁護士

2008年05月07日

最近離婚事件が多いのですが,だいぶ前ですが,私が担当した最も印象深かった(大変だった)事件を紹介します。
高齢の女性からの離婚の相談でした。
離婚原因は,夫による暴力,暴言,それから,夫の高額の負債の存在が離婚のきっかけでした。
夫の不貞行為も離婚原因でした。

 

依頼者は,夫の暴言,暴力に非常に恐れていました。ですので,離婚に関する手続を進める前提として,まず,住居の確保をし,そこへの引越を指導しました。これは全て夫には秘密に実行しなければいけませんので,かなり大変だったと思います。

無事,引越が終了したのち,訴訟を提起しました(調停は直ぐに不調になりました)。

印象に残っているエピソードとして,不貞行為に関する録音テープがありました。
すでに10年ぐらい経過していたカセットテープなのですが,どうも,夫が不貞行為の模様を録音していたのです。ですから,これが不貞行為を立証する一つの重要な証拠になる可能性がありました。

 

しかし,かなり古いテープで,録音状態も劣悪のため,かろうじて女性の声らしきものが聞こえたのですが,とても証拠として通用するような状態ではありませんでした。

そこで,このカセットテープの音の復元を,日本音響研究所の鈴木先生に依頼したのです。
古いテープに含まれる雑音を除去し,人の音声部分のレベルを上げて,より聞き取りやすくしていただきました。

その結果,まさしく不貞行為を行っている最中の音が復元されました。
これをCD-Rに保存していただき,これを証拠として提出しました。

 

また,当事者尋問の日も,とても印象に残っています。
通常,法廷には,弁護士だけが出席すればいいので,私の依頼者は,裁判所に出廷する必要がありません。しかし,当事者尋問といって,当事者の言い分を裁判官が直接聞く手続があるのですが,このときは裁判所に行く必要があります。その裁判は,公開の法廷ですから,当然,相手方である夫とも会わざるを得ないのです。
それまで,夫とは会わずに過ごし,自分の居場所を知られずに生活してきたので,夫と会うということは,依頼者にとって,最上級の恐怖でした。
法廷に行くこと自体は,何とか説得したのですが,当事者尋問終了後,尾行されることをとても恐れていました。
依頼者の尋問終了後,相手方の夫の尋問が行われるため,依頼者の尋問終了後,直ぐに法廷を出て,裁判所を後にすれば,尾行される恐れはなかったのですが,私の依頼者曰く,「(夫は)絶対に,人を使って尾行する。」ということでした。

 

そこで,尾行されずに裁判所から自宅まで帰る作戦を考えたのです。

協力者を3人手配しました。
1人は,法廷内に。
もう1人は,法廷フロアのエレベーターホールに。
3人目は,裁判所外に。

法廷内の協力者は,私と依頼者がおこなっている当事者尋問の様子を見て,終了数分前になったら,そとの二人に携帯で合図を送るのです(当然,事前に私からその協力者に,尋問が終わるタイミングをレクチャーしています。)。
その合図を聞いたら,エレベータホールでは,エレベーターをそのフロアに止めて,依頼者を待機します(依頼者が法廷から出た直後,直ぐにエレベータに乗れるように。)。
そして,裁判所の外では,タクシーをつかまえておき,同様に依頼者がでてくるのを待機します。

 

こうすることによって,尋問終了後,依頼者はスムーズにエレベーターに乗り,裁判所外のタクシーに乗り込むことができ,追って(尾行)を巻くことができたのです。

尋問当日,私の依頼者が言うとおり,被告側の傍聴席には,人相の悪い男が座っていました(いつもは,傍聴席に人なんていないのに。)ので,結構,緊張感がありました。

まるでスパイ大作戦(古い!今は,Mission Impossible)のようでした。

DVの事件なんかで,夫から逃げている女性の裁判で,他の弁護士さんはどのようにして,夫からの尾行をまいているのでしょうか?