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学問のすすめ。

限定承認とは。

2008年04月18日

相続の手続きっていつまで?で記載しましたが,被相続人が亡くなったのち,遺産を調べてみたら,プラス財産よりもマイナス財産が多かったというような場合には,「そもそも相続をしない」という手続である「相続放棄」をする必要があります。
これをしないと,マイナス財産を引き継いでしまうからです。

 

これは自己のために相続の開始のあったときから3か月以内(死亡後3か月以内と覚えておけば確実です。)に手続を行う必要があります。

 

では,プラス財産とマイナス財産の明細がわからなかったり,3か月以内に調査ができなかったり,もしかしたら潜在的な負債があるかもしれない,という場合にはどうすればいいのでしょう。

 

単純承認してしまうと,プラスもマイナスも引き継ぎますので,マイナスが多かった場合には,損をしてしまいます。

 

そこで,限定承認という制度があります。
これは少しわかりづらいのですが,被相続人の責任の限度で債務を承継する制度です。「責任」と「債務」の概念がわかりづらいですが,
例えば,被相続人の遺産が,
資産(プラス財産)1000万円
負債(マイナス財産)1300万円
という場合,単純承認をしてしまうと,300万円の債務超過になり,その超過分は,相続人固有の資産から支払をしなければいけません。

 

しかし,限定承認をすれば,1300万円の負債は,承継したプラス財産1000万円の範囲内で支払えばよいので,超過した300万円まで支払う必要が無くなります。相続人の固有財産から支払をする必要もないし,強制執行もされません。

 

もし,負債が資産を上回っていなければ,通常の単純相続のように,資産を承継する事ができます。

 

このように説明をすると,
ものすごく得な制度のように思えますよね。だって,亡くなった方に,負債があるかどうかなんて,調べても完全にはわかりません。ということは常に,限定承認をすればいいという判断ができます。
しかし,実は落とし穴がありますので注意が必要です。

 

まず,手続が面倒です。限定承認は,プレ破産手続と言われる手続です。破産手続の破産管財人のような手続を相続人が行わなければならないので,素人は少し荷が重いかも。

 

次に,この手続は,相続人全員で行わなければ成りません。
ですから,相続人間の足並みが揃ってなければ成らず,一人でも,「私は,単純承認をする。」というとできません。(相続放棄なら,その方は相続人ではなくなるので,大丈夫です。)。

 

最後に,一番の落とし穴が税金です。
限定承認をすると,死亡時に被相続人から相続人に譲渡があったものと見なされ,被相続人に譲渡税が課せられることになり,これが相続の対象となります。
つまり,余計な負債を発生させてしまうことになるのです。

 

また,限定承認は,資産と負債がどちらが多いかわからない場合だけではなく,明らかに負債が多い場合にも利用する場合があります。
負債が多い場合には,通常は,相続放棄をすれば良いのですが,そうすると,被相続人の資産も引き継ぐことはできません。
しかし,中には,どうしても引き継ぎたい遺産があるかもしれません(たとえば,代々引き継がれている家宝である刀とか,被相続人の形見とか…)。
そのような場合に,限定承認手続を利用すれば,そのようなどうしても引き継ぎたい遺産について,先買権が相続人にあるので,優先的に取得をすることができるのです(もちろん,ただではなく,有償で購入しなければいけませんが…。)。

 

このような利用方法は,余り知られていません。