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管轄の合意

学問のすすめ

本日,長崎に出張でした(日帰り)。
案の定,ずっと雨でした。
空港−裁判所−空港と寄り道せずに移動したので,
長崎空港で4時間もありました。

 

ところで,裁判所は,全国各地にあります。その中で,どの裁判所で裁判をするかと言う問題を「管轄」といいます。
通常,民事事件は,地方裁判所が第1審裁判所となります(訴額が140万円までの事件は簡易裁判所です。)が,全国各地にあるどの地方裁判所で裁判を行うかという管轄の問題が結構シビアな問題です(これを「土地管轄」と言います。)。

 

この土地管轄については,民事訴訟法という法律によって,色々と定められています。その結果,土地管轄がいくつか認められる結果になります。
例えば,長崎地方裁判所と横浜地方裁判所という二つの裁判所に土地管轄が認められるということもあるのです。

 

では,この二つの裁判所のうち,どこで裁判を行うかを決めるのは誰でしょう。
それは,訴えを提起する「原告」です。

 

そうすると,通常は,原告に有利な原告の住所地に近い裁判所を選択することになります。そうすると,訴えられた被告は,その裁判所に行かなければならなくなるのです。

 

このようなリスクを回避する方法が「合意管轄」です。
つまり,土地管轄は,契約当事者が予め決めておくことができるのです。
極端な話ですが,札幌の会社と沖縄の会社が,もし紛争になった場合には,東京地方裁判所でやりましょう,と予め決めておくことができるのです。

 

ですので,基本契約書や取引契約書を作成する場合,万が一,訴訟になった場合を想定して,予め管轄を合意する旨の条項を入れておくべきです。

 

例えば,
第○条 甲乙は,本件取引に関する紛争については,東京地方裁判所のみを第1審の裁判所とすることを合意する。
というように。