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学問のすすめ。

NDA(秘密保持契約)

2008年05月05日

NDA(Non-Disclosure Agreement 秘密保持契約),専ら会社間において,M&Aや業務提携等をする際に,お互い又は一方の秘密を守るために締結される契約です。このNDA締結における注意点をコメントします。

 

秘密保持契約の骨子は,概略以下のとおりです。
1 「秘密」の定義
2 秘密開示の目的
3 秘密の目的外使用の禁止
4 秘密漏洩の禁止
5 秘密保持の期間
6 損害賠償

 

1 秘密の定義について
秘密保持契約を締結する場合,通常,秘密の開示者と秘密の受領者が想定されます(もちろん,お互いに秘密を開示し,受領するという場合も想定されます)。いずれの場合も,まず,保護される秘密とは何なのか,保護しようとする「秘密」を明確にするための定義づけをする必要があります。
  開示者としては,保護されるべき秘密が広い方がよく,逆に,受領者としては,狭く限定的な方がいいということになります。
 
(秘密を広くする場合の例)
 第○条 秘密とは,甲から乙に対して,文書,口頭及び電子媒体その他一切の方法を問わず,本件に関して開示又は提供された一切の情報をいう。

(秘密を狭くする場合の例)
 第○条 秘密とは,甲から乙に対して,本件に関して開示又は提供された技術上及び営業上の情報であり,かつ,以下のとおり開示者が秘密である旨を表示したものをいう。
† 書面乃至これに準ずる方法によって開示する場合,秘密である旨を当該書面等に明示的に表示する。
† 口頭によって開示する場合,開示時に秘密である旨を告げ,かつ,その後5日以内に秘密情報の内容及び開示日時を記載した書面にて秘密である旨を表示する。

このように秘密を定義づけしても,次のような一定の例外をもうけているのが一般的と思われます。
 † 開示時に受領者が既に入手していた情報
 † 開示時に既に公知の情報
 † 開示後,当事者の責によらず公知となった情報
 † 正当な権限を有する第三者から秘密保持契約を負うことなしに入手した情報
 † 官公庁又は法令に基づき提出乃至開示を命じられた情報

2 秘密開示の目的
 秘密保持契約を締結して秘密を開示するということは,業務提携,資本参加,及び,これらに先立つデューディリジェンス等の目的があるのが通常です。その目的を明示しておくことによって,後記の目的外使用か否かの基準を定めることができます。

 

3 秘密の目的外使用の禁止
 開示された秘密はその目的のためだけに用いられるべきであり,目的外使用を禁止することが必要になります。

(記載例)
第○条 当事者は,開示された秘密を第○条記載の目的以外に用いてはならない。

 

4 秘密漏洩の禁止
受領した秘密を第三者に開示・漏洩をしてはならない,という秘密保持契約の本質部分となります。
 
但し,これにも次のような一定の例外を設けているのが一般的です。
† 開示者の承諾ある場合
(開示者からすれば,後に「承諾した」,「しない」というトラブルを回避するために,「書面による承諾」を契約上要求するのが望ましいでしょう。)
† 受領者側の役員及び担当社員,並びに,弁護士,会計士,税理士等の専門家に対して開示する場合。
(これも開示者からすれば,開示が許される者の範囲を明確化し,かつ,これらの者と受領者と間で別途守秘義務契約を締結させるのが望ましいでしょう。)

また,秘密漏洩が起こらないよう防衛する意味合いで,開示された秘密情報の複製を禁止する条項を設ける契約書もあります。

 

5 秘密保持の期間
 秘密情報は,2の目的が達成又は不達成の場合でも,一定期間秘密として扱われる必要があるので,契約期間終了後も3年乃至5年程度秘密漏洩の禁止の効力が継続する旨を定めています。

 

6 損害賠償
 秘密保持契約を締結したにもかかわらず,受領者側が秘密を漏洩してしまった場合,開示者は,それによって損害を被れば受領者に対して損害賠償請求をすることができます。

倒産と債権回収」にも記載しましたが,

第○条 甲の故意又は過失によって、乙に損害を発生させた場合、甲は乙に対してその損害を賠償する義務が存する。

という条項を見かけますが,これは法律上当然のことですので,あえて記載する法的な意味はなく,確認的又は抑止的効果しかありません。

どうせなら,もっと意味がある条項にしましょう。

契約を反故にされ,秘密を漏らされてとしても,何が大変って,漏らされた事による損害を立証することが大変なのです。ですので,この立証を軽減させるような条項を設けたいですね。

立証を軽減させる方法は,「損害賠償の予定」です。